火災・自動車・ケガなど「モノや人に生じた損害」に備えるのが損害保険です。まずは全体を支える基本の考え方から押さえましょう。
先生、生命保険はなんとなく分かるんだけど、損害保険ってそもそも何がちがうの?
要は火事とか事故の保険ってこと?
いい入り口ね。損害保険は、偶然の事故で生じた「損害の実額」を補償する保険なのよ。
生命保険が人の生死に対して決まった金額を払うのに対して、損害保険は実際の損害に応じてお金を払うの。
補足すると、この「実際の損害額を上限に支払う」考え方を実損てん補と言いますね。
原則として、損害額を超えて受け取ることはできません。
損した分だけもらえるってことなんですねぇ。
じゃあ、わざとお金もうけするために保険を使う…みたいなことはできないんですかぁ?
できないのよ、美羽ちゃん。
それを防ぐ考え方が利得禁止の原則。
保険で得をしてはいけない、というルールね。
だからこそ実損てん補が基本になっているの。
なるほど、儲けさせないための仕組みか。
じゃあ保険料ってどうやって決めてるの?
なんとなく?
ちゃんと理屈があるのよ。
損害保険料は大数の法則と収支相等の原則という2つの柱で成り立っているの。
大数の法則は、たくさんの事例を集めると事故の発生確率が一定に近づく、という統計の法則ですね。
1人の事故は予測できなくても、100万人分なら「年に何%が事故に遭うか」がほぼ読めます。
そして収支相等の原則は、契約者全体から集める保険料の総額と、支払う保険金の総額が等しくなるように設計する、という原則です。
だから確率が高いリスクほど保険料も高くなります。
うぅ〜ん…つまり、みんなで少しずつお金を出し合って、事故に遭った人を助ける仕組みってことですかぁ?
その理解でばっちりよ。
損害保険は「相互扶助(助け合い)」を統計で公平に運営しているの。
もう一つ、契約で大事な言葉があるわ。
事故の際に払われるお金を『保険金』、契約で設定する上限額を『保険金額』、そして保険の対象そのものを『保険の目的』と呼ぶの。
用語がまぎらわしいので整理しますね。保険価額は「保険の対象の実際の価値(時価など)」、保険金額は「契約で決めた支払いの上限」です。
この2つの大小関係が、次回学ぶ火災保険の支払い計算のカギになります。
要は、対象の本当の値段が『保険価額』で、いくらまで払うか決めた枠が『保険金額』ってこと?
名前が似すぎてて混乱するな!
そうそう、そこを取り違えないことが試験でも大事よ。
今日は『実損てん補』『利得禁止』『大数の法則』『収支相等』の4つを持ち帰ってね。
助け合いを数字で公平にしてるって聞いたら、なんだかあったかい仕組みに感じますねぇ。
確認クイズ
損害保険の基本的な考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 損害保険では、実際の損害額を上回る保険金を受け取ることで利益を得られる。
- 損害保険は原則として実損てん補であり、利得禁止の原則により損害額を超える支払いは行われない。
- 保険料は大数の法則とは無関係に、契約者ごとの希望額で自由に決められる。
- 保険価額とは、契約で定める保険金の支払い上限額のことである。
こたえを見る
正解: 2. 損害保険は原則として実損てん補であり、利得禁止の原則により損害額を超える支払いは行われない。
損害保険は実損てん補が原則で、利得禁止の原則により損害額を超えて受け取ることはできません。1は利得禁止に反するため誤り。3は保険料が大数の法則と収支相等の原則で決まるため誤り。4は「保険価額=対象の実際の価値」で、支払い上限を表す用語は保険金額なので誤りです。